<えになるかとり かとりっぷ> ◆第四十二回 時の流れと石垣

2021.03.11

東日本大震災から10年。
あっという間だったように感じても、地震があるたびにあの日の揺れが鮮明に思い出されます。

香取市でも液状化や建物の倒壊などの被害がありました。
マンホールはせり上がり、地盤は沈下、橋に段差ができるところもありました。

佐原の重要伝統的建造物群保存地区の中心を流れる小野川は、川の水が無くなり舟が土に乗っている状態でした。
護岸も崩れたところがありましたが、今はきれいに直りました。

その小野川の護岸が最初に整備されたのは、大正7年のことです。
江戸より水運の町として隆盛を極め、その拠点となった小野川。
東日本のハブとして、商人たちが役所に頼らない自治をしていました。

それぞれの商家の前に、荷物の上げ下げをするための”だし”と呼ばれる場所があります。
今でもその跡や、復元されたものが見られます。

そして、時代とともに移り変わる護岸の模様。
当初の銚子石や伊豆石が使われていた所も、わずかですが見ることができます。
整備された年代により、護岸の変化を見ることができるのです。
石の境目を探しながら舟に乗るのもおもしろいですね。

復興とともに忘れてしまいがちな記憶ですが、石垣は静かにその時を残してくれています。
これからも後世にその姿を見せてくれることでしょう。

 

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第四十二回 時の流れと石垣
文・写真 きのしたまみ
毎週木曜日更新