<えになるかとり かとりっぷ> ◆第七十八回 佐原ばやしと秋の空
佐原の町を歩いていると、風にのって笛の音が聞こえてくるときがあります。
どこからともなくやってくる音色は、哀愁を帯びた秋の空にぴったりなBGMです。
町に住む人なら、いつもの日常。
あの人が吹いているんだなと。
日本三大囃子として知られる「佐原囃子」。
役物、段物、端物と3つに分類される曲目は、数十にも及びます。
山車の曳き廻しの場面に応じて曲目は演奏され、祭りの雰囲気を盛り上げます。
疲れていても、あの曲になれば元気が湧いたり、祭りがもう少しで終わることを告げる曲には寂しくなったり。
祭り人の耳に染みついて、気持ちが揺さぶられます。
その情緒的で独特のメロディーは、初めて聞く人にも響くと思います。
伝統芸能の担い手がなかなかいない現在でも、香取市の小中高校には、郷土芸能部という部活があり、子供の頃から継承されています。
お囃子大好きの持って生まれたDNAは、お腹の中にいるときから聞いている子が少なくないからでしょうか。
山車の脇でもスヤスヤと気持ちよさように眠る赤ちゃんを、祭り中に見たことありますもん。
そんな佐原囃子、早く本番で聞きたいですね。
町全体が活気に溢れる日が待ち遠しいです。
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えになるかとり かとりっぷ
第七十八回 佐原ばやしと秋の空
文・写真 きのしたまみ
毎週木曜日更新